
灰とアカツキ
システム:クトゥルフ神話TRPG 6版
作者:小早川
テーマ:吸血鬼
はじめに
いらっしゃいませ。<小早川書店>店主の小早川と申します。
この度は、本シナリオをお手に取ってくださり誠にありがとうございます。
詩片プロジェクトの第2弾”魔物の詩片”ということで、1年ぶり2回目の企画となります。第1弾”おとぎの詩片”では桃太郎のおとぎ話をテーマに『クロトカゲ』というシナリオを公開させていただきました。
『クロトカゲ』が4人用ドンパチお祭りシナリオなのに対し、今回の『灰とアカツキ』は1人用ほのぼのしっとり風シナリオとなっております。
この”風”というのがミソで、「タイマンエモシを目指したが小早川色を隠しきれなかった」という意味が込められています。そうです。クトゥルフのシステムで超常戦闘するのが好きなんです、自分…
でも途中まではPCとKPCのほのぼのスローライフ感が楽しめるゆっくりしたシナリオなので、気を張らずにプレイできる内容になったなと思っております。
それでは前置きはこのくらいにして。
此度の物語の終幕が、皆様にとって”希望”でありますよう願っております。
シナリオ説明
本シナリオは宇宙吸血鬼ニーオス・コルガイであるKPCと、炎の吸血鬼を人工的に融合させられた少年/少女PCの運命の出会いを描く1人用シナリオである。
舞台はドリームランドと現世の狭間のような空間を想定しており、明確な時代を定めていない。いわゆるファンタジーのような世界設定となる。
本作にはストーリーの根幹に影響するしないに関わらず、多くのアーティファクトやアイテムが登場する。中にはクトゥルフ神話TRPGサプリメント キーパーコンパニオン(以後KCと表記)を出典とする物品も登場するため、理解を深めたい場合はそちらにも目を通すことを推奨する。
KPCとしてのキャラクター像はシナリオ側でテンプレートを用意している。しかし、展開の殆どがKPとPLの会話の掛け合いによって成立する物語の性質上、KPやPLがロールプレイしやすい環境が推奨される。よって、KPCの外見や性格などはKPの裁量で自由に変更・作成してよい。PLとキャラ像をすり合わせるのもよいかもしれない。
作者が本作をKPする際、キャラクターやアイテム素材、背景はフリーのイラストサイトからほとんどすべて賄った。素晴らしい素材をフリーで公開してくださっているサイトがあるので、ぜひ利用してみてほしい。
七三ゆきのアトリエ https://nanamiyuki.com/
(※上記サイトの利用規約を確認し、利用規約に沿ってURLを記載しています。また、セッションで使用する場合は、
シナリオ本編内に於いて、「」を用いたセリフが多数記載されている。それらは例文に過ぎないため、必ずしもその通りに言葉を運ばなくてもよい。
また、オンラインセッションツールココフォリアを用いた描写・演出の例としてプロローグ部分の動画を用意した。このシナリオを気に入って回していただける方がいたら、参考程度にはなるかもしれない。
【CoCシナリオ】灰とアカツキ【プロローグOP】
https://www.youtube.com/watch?v=L5vvfXhZddw
※作者自身の声が入っています。
※音量にご注意ください。
※あくまで演出の一例となります。
真相
ドリームランドと現実世界の狭間近辺に、とある研究所があった。そこでは人間の体に炎の吸血鬼やショゴスの体組織を人工的に融合させ、新人類を作り上げる実験が日夜行われていた。そこへクリフォトという組織から、Chemdah(ケムダー)と名乗る研究者が参入し、プロジェクトは飛躍的に進行していった。
ChemdahはODIN(オーディン)と呼ばれる超科学的アーティファクトを開発し、様々な生物の遺伝子・体組織情報を収集し始めた。彼は自分と異なる特徴・個性を持つ存在を羨み、全てを自分のものにしたいという果てのない貪欲さをもっており、やがてはODINを利用し究極の生命体になることを目的としていた。
そんな折、炎の吸血鬼研究の実験体F‐06(PC)が融合に適応。しかし力の暴走により施設の一部を炎によって破壊し、そのまま研究所から逃走する。真夜中、大雨の中深い森をひたすら走り続けていたPCは、足を滑らせ谷底へと落下してしまう。
流れ着いた先でPCは吸血鬼を名乗る人物に拾われ、人の寄り付かない住処で奇妙な同居生活が始まる。
HO内容
【貴方は死に場所を求める少年/少女だ】
・年齢制限9~12
・戦闘/知識系の技能は取得不可
・名前はないが、肩には06という焼印が押されている。
・外の世界に関する知識を持たない(海や動物など)
・体中に傷や拘束跡があり、簡素な服は汚れ、焼け焦げも見られる
・朧気な意識の中覚えているのは、暗い石造りの場所と冷たい檻の景色だけ
・どこかの施設から命からがら逃げだし、気を失ったところを吸血鬼を名乗る魔物に拾われた
・シナリオ開始前に3d10の正気度喪失を行うこと
人物紹介
◆ヴェイグ/ヴィヴィアン
STR:15 CON:12 POW:25 DEX:10
APP:15 SIZ:14 INT:12 EDU:20
吸血鬼を名乗る不老不死の魔物。
その実態は宇宙吸血鬼ニーオス・コルガイである。
500年前に地球へやってきた宇宙吸血鬼は、人に寄生し繁殖を試みた。
その中で人間への情が芽生え、自らも人間として生きていくことにした。
しかし、歳月が流れても姿形の変わらない存在を人間は恐れ迫害した。
人間との交流を絶たれて暫くの後、年端も行かない子供が魔物の家を訪ねたことがあった。
子供は無知から魔物を恐れることなく、無邪気に笑っていた。
しかしそれも長くは続かず、同じ集落の人間の手によって子供は焼き殺された。
『魔物に憑りつかれた』として。
迫害の過去や親しい人物の死を乗り越えられなかった魔物は
人の寄り付かない場所へ住処を移し、記憶を自分から切り離すと
2度と思い出さぬよう2階の書斎に封印した。
そうして、生きる意味と引き換えに平穏を手に入れた。
吸血鬼KPCの名前や性別はKPやPLの好きに変更してもらって構わない。
作者の想定したKPCの性格は『真面目だが抜けており、PCに対しては母か父のように接する』となるが、
これも好きなように変更してもらって構わない。
過去の経歴について、何十年前にどこでどのような景色を見たなどのエピソードも自由に描写・演出してよい。
このキャラクターはシナリオに設定されていると同時に、貴方のキャラクターでもあるのだ。
(男性名ヴェイグ:ラテン語で”彷徨う者”/女性名ヴィヴィアン:ラテン語で”生命ある者”に由来)https://nanamiyuki.com/archives/18993
https://nanamiyuki.com/archives/5049
ジョー
STR:18 CON:15 POW:10 DEX:12
APP:11 SIZ:17 INT:9 EDU:14
HP:21 MP:10 SAN:50 db:+1d6 装甲2点
大剣90% ダメージ2d8+db
ヴァンパイアハンターの一族として吸血鬼を狩りに来る青年。
剣の扱いが天才的である反面、複雑なことを考えるのが苦手。
たまに吸血鬼の住処を訪れては襲い掛かり、失敗した後は笑いながら飯食って帰る。
お財布事情が非常に貧困なため、街では何でも屋のようなことをして食いつないでいるらしい。
ジョーの住む街はドリームランド側にある為、ファンタジー色が強くギルドなども存在している。
エピローグによっては、PCと共に旅をする仲間となる。
https://nanamiyuki.com/archives/9646
エーテル
STR:10 CON:15 POW:16 DEX:18
APP:14 SIZ:10 INT:17 EDU:10
旅をしながら「星見商店」という何でも屋を営む少女。
身の丈以上もある大きな鞄を背負って各地を旅し、
日用品から食品、アーティファクトの類まで取り扱っている。
性格はほんわかしており初見のアーティファクトを見せると目を輝かせるほど無邪気。
しかし商売のこととなると気丈でしっかりとした一面も見せる。
背負っている鞄がそのまま展開してテントのような店になるのだが仕組みは不明。
https://nanamiyuki.com/archives/27870
V(ブイ)
住処の2階を守護する、手のひらサイズのまん丸いコウモリ。
自らを「高貴なコウモリV(ブイ)」と呼ぶ、のじゃバット。
PCに対してはフランクに(?)接するが、2階に何があるか聞いても詳細を話そうとはしない。
それはV自身が吸血鬼の封印した記憶そのものだからである。
よってVは吸血鬼を遠くから見守るだけであり、接触はしない。
吸血鬼側もVに対して恐怖心を抱いており、進んで交流することはない。
たいていのことは知っている物知りバットでもあるので、アドバイス要因にも。
https://nanamiyuki.com/archives/24253
”Qliphoth(クリフォト)”
生命の樹たるセフィロトと対照的に、邪悪の樹とされるクリフォトを名乗る一団。
クリファと呼ばれる執行官10名で構成されている。
クリファそれぞれが人間を邪悪たらしめる悪徳の名を冠しており、どれも非常に強力な力を持つ。
この一団を知るものはそもそも世界に殆ど存在しない為、その目的も未知である。
今回のシナリオではケムダーの背後組織として仄めかされる程度で、直接的な登場はない。
Chemdah(ケムダー)
とある壮大な計画の遂行のため動く”Qliphoth(クリフォト)”執行官クリファの8i。
貪欲の悪徳をその名に冠している。
自分以外が持つ全ての特長や個性を羨み欲する貪欲さを糧とし
ODINを利用して究極の生命体へ昇華することを目的としている。
仮面と紅く光る眼が特徴。丁寧な口調ではあるものの人の話に耳を傾けたりはせず
ただ一方的に考えを捲し立て、気が済むと相手の特長を奪い取る。
https://nanamiyuki.com/archives/28354
Chapter別 概要
【Prologue】
炎の吸血鬼との融合実験を施されていたPCが暴走。牢の一部を破壊し研究所の裏から脱走。
大雨の中追ってから逃げ回るが、足を滑らせ谷へ落下。濁流に飲まれ、吸血鬼の住処付近まで流される。
【Chapter.1 The beginning of fate】
吸血鬼との出逢いと日常を描く。
美味しい食事と柔らかい寝床、釣りや狩りや読書といったスローライフ。
そのすべての瞬間で吸血鬼はPCに対して温かかった。
喧しくも素直な吸血鬼ハンターに、不思議ちゃんで世話焼きな旅商人など
人との交流を経てPCの心は少しずつ回復していく。
【Chapter.2 Gears start moving】
平穏な日が続いたとある夜。吸血鬼の住処に予期せぬ来訪者が現れる。
Chemdahと研究所の兵たちがPCを連れ戻しに来るが、
吸血鬼は自らの不死性を証明し自分が身代わりになることでPCを守ろうとした。
激情に駆られて炎の力を覚醒させるも、コントロールできずに意識を失う。
駆け付けたジョーとVと共に、吸血鬼を救い出すべく研究所へと乗り込む。
【Chapter.3 Revealed truth 】
研究資料から、Chemdahが吸血鬼の不死性をコピーし究極の生命体になろうとしていることが発覚する。
襲い来る兵たちを大剣と炎で払いのけつつ吸血鬼の待つ最奥の研究室へと向かう。
【Chapter.4 Ash and...】
宇宙吸血鬼の不死性を自らの身体へ模倣させ、Chemdahは巨大な魔物へ変貌する。
PCは最大火力の炎で魔物を焼き尽くし、赤月の元に魔物は灰と散った。
しかし許容量を超えた炎の力はPCをも焼き尽くそうとしていた。
意識と記憶を取り戻した吸血鬼は、PCを救うべくエナジードレインを行う。
Chemdahによって不死性を破壊されていた吸血鬼によって、その吸血行為は自らの死を意味していた。
ドレインによって精神の繋がりができたPCと吸血鬼は、最期の言葉を交わす。
再び意識を取り戻したPCの眼には、暁に燃える様に煌めく灰が映っていた。
【Epilogue】
それから数か月後。
ジョー、エーテル、少女と共に、PCは吸血鬼蘇生の方法を探すべく旅に出ていた。
吸血鬼と交わしたたくさんの約束を果たすために。
シナリオ内の表記(記号)
「」=セリフ例
<>=正気度喪失
白い囲い=KP情報
▼ 以下、シナリオ本文 ▼
Prologue
君は逃げている。
孤独を強める夜、草木の生い茂る森、気が違ったような大雨の中、一心不乱に足を働かせる。
力の入れ方も覚束ない足取りは、お互いを何度も絡ませ地面へ転がった。
響く怒声は雨音に紛れ、幾重にも重なり君を取り囲むように追い立てる。
君は逃げている。
氷雨にあてられ冷え切っていく体温と、激しい動悸に熱を持つ呼気。
削るだけ激しく燃ゆる命の灯火。
相反する自らを顧みた瞬きの後、君は落ちていく。
昏く、深い、谷の底へ。
落ちていく。
...
しかして、君の願いは叶うに能わず。
何者かの手によって命の火種は掬い取られ、やがて吹き返される。
その”吸血鬼”を名乗るものの手は何よりも暖かく、その眼は何よりも悲しげだった。
Chapter.1 The beginning of fate
貴方は何者かに揺り起こされる感覚で目を覚ます。
眼を開けてみるとそこはどこかの家の一室であり、貴方は体中を手当てされベッドで寝かされていたようだ。そして、目の前にはこのような人物が立っていた。
ここでKPCのコマを出現させる。
「目が覚めたか、傷の具合はどうだろうか」
・アンタは誰だ
「私は●●。ここに住まう吸血鬼と呼ばれる存在だ」
・ここはどこだ
「私の住処だ。人間は滅多に寄り付かない最果ての場所さ」
・人間を食うのか
「いいや。吸血鬼とは老いもせず死にもしない私を見た人間が勝手に呼称したに過ぎない」
「よって私は人間の血肉を必要としない。君を取って食ったりなどしない」
・この場から逃げだす
動こうとしたあなたに全身に鈍い痛みが襲い来る。今のままではまともに歩く事すら叶わないだろう。
「その体では満足に動くこともできまい。傷が癒えるまでここにいるといい」
・なぜ助けた
「君に死んでほしくないと思ったからだ。それ以上のことは私にもわからない」
自分のせいで殺されてしまった子供の、封じたはずの記憶が引き金となり
PCに対しての庇護欲が芽生えていく
そうして逃げ出すことも死ぬことも出来ない貴方は、吸血鬼の住まう家で吸血鬼に傷の手当てや食事など身の回りの世話をされながら1週間以上の時間を過ごすことになる。
その間貴方が吸血鬼にどのような印象を抱くかはわからない。しかし、
暖かな寝床と暖かな食事は確かにあなたの身体と心を少しずつ癒していくのかもしれない。
正気度回復 1d3
...
暫くの時間が過ぎ、やがてあなたの身体は少しずつ自由が利くようになってくる。
今日からは少しであればベッドを出て行動しても問題なさそうだ。
リビングへ向かうと、吸血鬼が朝食の準備をしている。吸血鬼は貴方に気が付くと声をかけてくる。
「もう動けるようになったか。よかった」
「いま食事の準備ができるところだ。朝食は一日の力の源になる。しっかりと食べてくれ」
食事を終えた貴方は、この家かその周囲を見て回ることができる。
家の近くには小川がせせらぎ、少し離れた場所に森への入り口と洞窟がある。
ここからPCの自由探索のパートになる。
後述する探索箇所を1箇所探索するごとに1日を経過させ、合計3日間で吸血鬼やその他NPCとの交流を楽しんでもらおう。
PCの探索する箇所に応じて1日1人NPCを登場させよう。
書斎:V 森:ジョー 洞窟:エーテル
【住処】
(時間経過しない)
吸血鬼が何やら準備している。
(1d3ロールで行動決定)
3:料理
昼食or夕食の準備をしているようだ。今日も腹の虫を刺激するいい香りが漂ってくる。
吸血鬼の主な趣味は料理なので、出てくる食事はどれもこれも一級品。(料理技能80%)
PCが「美味しい」と言ってくれるのであれば、作り方を教えて一緒にキッチンに立つのもいいだろう
その際PCは<アイデア>で手順を理解し、DEX*5で料理を作ることができる。
上手にできたら料理技能を成長させたり、正気度を回復させると面白いかもしれない。
2:読書
本棚から数冊取り出し、椅子に座って読書をしているようだ。どうやら冒険小説らしい。
吸血鬼は封じた記憶のせいか、外の世界を自分が行ってはいけない場所だと思っている。
その為外界の情報や果てない世界へ旅してみたいという欲求が少なからずある。
PCといっしょに広い世界の話をして、夢を膨らませてみよう。
そしてこれはエピローグへの伏線にもなる。
1:狩り(狩場を森か洞窟のどちらかからダイスなどで決定する)
釣り具や設置式の狩猟罠などを用意している。狩りに向かうのだろうか。
食料が心もとなくなってきた、など理由を付けてPCについて来るかどうか聞こう。
洞窟なら湖で釣りを、森なら野生動物の狩りを行い、
命を食べることが生きることである事をPCに知ってもらおう。
また、それぞれの場所でPCの狩りチャレンジミニゲームがある。
【2階書斎】
扉には鍵がかかっているようだ。
貴方が扉に近づくと、扉の上部に空いた小さな穴からナニカの影が飛び出して貴方に激突した。
よくみるとそれはまん丸くモフモフしたコウモリだった。
「ヒトの子風情が如何にしてここにおるのじゃ!」
「ワシは高貴なコウモリV(ブイ)じゃ!敬えーい!恐れおののけーい!」
人ではない小さき生物が言語を介したことにより、<0/1の正気度喪失>
・ここで何してる?
「ワシはこの場所を護るがーでぃあんじゃ!何人たりともここを通しはせんぞー!」
・何でしゃべれる?
「高貴なコウモリVに不可能などないのじゃ!」
・不可能そうなお願いをされた時
「・・・。今日は気乗りせんのじゃー!」
「というかワシに命令するでない!不躾じゃぞ!えいえい!」(PCを羽でぺちぺちする)
・吸血鬼とは知り合い?
「奴はワシと契約しておる。内容は契約違反だから言えんのじゃ」
「勘違いするなよ、馴れあっているわけではない。ワシは奴を監視しているのじゃからな」
PCからの質問事項に対し、KP判断でVの口から情報を伝えてもよい
【水辺】
(時間経過しない)
穏やかな水のせせらぎが聞こえる。
覗き込んでみれば、美しく澄んだ水面に貴方の顔が映っている。
1日1回 <幸運>が可能 成功で1d6を振る事ができる。同じ出目は振り直し。
水底には、上流から流れてきた何かが沈んでいる。
6:赤い珠
5:滑り気のある鱗
4:薬剤の入った小瓶
3:赤さびた鍵
2:奇妙な眼鏡
1:不思議なコイン
・拾ったものを吸血鬼に見せる
「これは…私にもわからない。定期的にこのあたりを訪れる旅商人がいる」
「周期的に丁度明日か明後日に来るはずだ。その時に見てもらうといい」
拾得物の詳細
6:赤い珠 (ODINの試作品 KC p.100)
5:滑り気のある鱗 (深き者どもの鱗 エーテルに渡すと赤さびた鍵か不思議なコインをくれる)
4:薬剤の入った小瓶 (感情抑制剤 研究所の少女を救うのに必要 KC p.102)
3:赤さびた鍵 (研究所にあるとある金庫の鍵 中にMP20貯蔵アーティファクトが眠る)
2:奇妙な眼鏡 (ハウプトマンの眼鏡
かけると気味の悪い景色が見えて0/1の正気度喪失。 KC p.104)
1:不思議なコイン (運命を変える ダイス振り直し権)
洞窟や森にPCが興味を示し、且つその日にNPCが登場していない場合は
吸血鬼を登場させて狩りに誘おう。
【洞窟】
鍾乳石と小さな川だけが広がる洞窟。
奥には地底湖のような空間がある。
・釣りイベントで洞窟に入る
驚くほどに透き通った地底湖がそこにはあった。
清涼で美しいその空間は神秘的であるとさえ思えるだろう。
水の中を見てみれば、岩陰に隠れて魚影があることに気が付く。
「釣りはいい。糸を垂らしてかかるまでの時間が苦にならないからな。君も試してみるか?」
<アイデア>と<DEX*5>ロールで釣りを試みることができる。
ロールに成功した場合、1d6を振り獲物を決定し、何匹連れたか1d10で決定しよう。(5、6以外)
また、自らの手で獲物を釣りあげた達成感により正気度回復 1d3
1 貝
2 小魚
3 大魚
4 大蟹
5 湖のヌシ
6 ノオリ (ドリームランドに住まう人魚のおじさん)
吸血鬼も70%で釣りを試みてみよう。
成功してお手本を見せるもよし、失敗して天然ぶりを発揮してもよし。
ここで取れた獲物を後にエーテルに売り渡すことになる。
6が出てノオリが連れてしまった場合、
たまたま通りがかった所をたまたま釣り上げられてしまったことにしよう。
ノオリは自分を釣り上げた者を「見事な竿サバキじゃ!」と褒めた後、1d100匹の魚を報酬としてくれる。
釣りから戻ると家の前に見慣れないテントが張られていることに気が付く。
テントの前には『エーテルの星見商店 OPEN!』と書かれている。
「前に話した旅商人のテントのようだ。私は日用品や食品の買い付けの為顔を出す。君もアーティファクトのことに関して聞いてみるといい」
君たちは二人して星見商店を訪れることとなる。
「あ、いらっしゃいませー!生活必需品から魔術的アイテムまでなんでもござれ!エーテルの出張星見商店でーす!よってらっしゃいみてらっしゃーい!」
テントに入ると、ガラクタの山から顔を出した少女が得意げにそう云い放った。
吸血鬼は手馴れた様子で生活に必要なものをエーテルに確認・手配させている様子だ。
あなたももってきた物品をエーテルに確認してもらおう。
・赤い珠
「これはまた珍しいものを!これは魔術的というよりは超科学的なアイテムだねー」
「聞いた話だと確かこれを目玉の代わりに装着するんだって。そうすると周囲の電子機器を思うがままに操ったり、いろんなデータを収集することができるらしいよー」
「でも、持って来てくれたこれは失敗作か不良品なのかも。あんまり私のセンサーにピンとこないし」
・滑り気のある鱗
「わー!くっさーい!」
「でもこの手の魔物の素材って意外と高値で取引されたりするのよねー」
「もしくれるなら、他にイイものと交換してあげるよ!」
・薬剤の入った小瓶
「なんじゃーこりゃー。ちょっと良く見せて!」
「くんくん、うーん(本をめくりながら)これは感情抑制剤と呼ばれる薬剤みたいだね」
「人間が使うと感情が消え去って目的のためなら何でもできるマンになるヤバいもの!特定の魔物に投与すると、特別な効果をもたらす場合もあるらしいけど、詳しくはわからないな」
・赤さびた鍵
「うーん、なんだろう?普通の鍵に見えるなー」
「この辺で拾ったのならこの辺に仕える穴があるんじゃない?持ってなよ!」
・奇妙な眼鏡
「あ、ハウプトマンの眼鏡だねー!これ一回でもかけた?」
「本来見えないはずの次元の狭間を見ることができるメガネなんだけど、かけ続けるとその世界の住人に殺されちゃうって話だよ」
「めちゃくちゃ危ないねー」
・不思議なコイン
「ん!?このコイン、初めて見るけど途轍もない力を感じる…きがする」
「でも残念ながらこのコインは所有者を君と認めているみたい。大事に持っておきな?」
「きっと、運命を変える手助けをしてくれるはずだから」
あらかた用が終わるとエーテルはPCをじっと見つめる。
「次にここに来るときには、君くらいのサイズの服をたくさん仕入れておくから、覚悟しててね」
「せっかくかわいい顔してるんだから、ちゃんと着飾らないともったいないよ!」
「吸血鬼さんも、この子にもっといい格好させてやんなさいよまったくもー」
そう捲し立てられ、吸血鬼もたじたじになり「も、申し訳ない」とこぼしている。
最後にエーテルはPCの頭を撫でる。
「君にはまたすぐに会える気がするよ。じゃあね」
そう言って見送られ、貴方たちは星見商店を後にする。
店仕舞いをしたエーテルはテント畳み、身の丈以上もある鞄にしてこの場を去っていった。
【森】
木々の隙間から暖かい光が差し込んでいる。
陽光が川の水面に反射し、辺りをきらきらと照らしている。
・狩りイベントで森に入る
人の手など全く入っていない鬱蒼と茂る森。
周囲からは様々な生き物の音が聞こえてくる。
生命を感じるこのような景色は、あなたにとっては初めて目にするものだろう。
吸血鬼はもってきた狩猟罠をおろし周囲を観察する。
「この辺りに罠を仕掛けよう、君もやってみるか?」
<隠す><隠れる>などの技能、或いは<アイデア>と<DEX*5>ロールに成功することで対象を捕獲・あるいは罠設置が可能となる。
ロールに成功した場合、1d6を振り獲物を決定する。
また、自らの手で獲物を捕まえた達成感で正気度回復 1d3
1 虫
2 鳥
3 うさぎ
4 イノシシ
5 鹿
6 シャンタク鳥の雛
吸血鬼も70%で狩猟を試みてみよう。
成功してお手本を見せるもよし、失敗して天然ぶりを発揮してもよし。
ここで取れた獲物を後にジョーが解体することになる。
狩りから戻ると、耳をふさぎたくなるような大声が響いてきた。
「吸血鬼●●!今日こそお前の命日となる!」
「このヴァンパイアハンター ジョー様が、冥界へ直送してやるぜ!」
そう喚き散らしながら着地したのは、大きな剣を携え赤マントをたなびかせる青年だった。
その様子を見た吸血鬼は額に手をやり肩をすくめている。
「先手必勝!一撃必殺!逝くぜ魔剣リベリオン!”疾風迅雷”!」
ふざけた前口上を言ったかと思うと、忽然とジョーの姿が消える。
ぶわっと風が舞い上がり何かが目の前を高速で横切った。
刹那。
PCの近くにいた吸血鬼は横薙ぎ一閃。胴体を真っ二つに切り裂かれ、血飛沫が舞った。
1/1d6の正気度喪失。
しかし、吸血鬼の身体はほんの数瞬のうちに元の姿形へと復元する。
「やれやれ、何度やっても私は殺せないというのに」
「クソ、今日も鮮やかな再生能力だぜ…」
ため息を吐く吸血鬼と悔しがるヴァンパイアハンターという、彼らにとってはこなれた状況、しかしPCにとってはあまりに異常な光景がそこにはあった。
PCがジョーに向かって文句や罵声を浴びせても、ジョーは「俺はこういう生業だからな!」と開き直ってまともに取り合ってくれないだろう。
「ていうか普通に見過ごしていたが、なんで人間のガキがヴァンパイアといっしょにいやがんだ」
「ハッ、まさかついに空腹の限界でガキを攫って今夜のディナーに…!?」
「安心しろガキ、俺がいま助けてやるからな」
この誤解に対してPCが説明するなら、渋々「ふーん?難しいことはよくわからんが、喰われないんならいいか」といった感じであきらめるだろう。
不意にジョーは狩ってきた獲物を指さしてこう言った。
「おい、ところでそこに転がってる獲物はどうした?」
「肉を食うんだったら俺も同席するぜ。というか肉サバキは俺に任せろ!」
吸血鬼も、「確かに私たちがやるより幾分上手にやってのけるだろう」とお願いする気らしい。
ジョーは魔剣リベリオンとやらを持ち、獲物を空へ放り投げると凄まじい剣戟を放つ。
ジョーの大剣90%を振り、どれだけ綺麗に捌けたかを演出しよう。
日ごとに朝の食事と会話・夜の食事と会話、
寝かしつけるところまでRPするとよりよいかもしれない。
ここの会話のどこかで、PCに名前を付けてあげよう。
そうして三日間の探索を終えて、PCが眠りについたところでChapter.1を終了とする
捌かれた肉を持って吸血鬼はキッチンへ向かい、料理を始めた。
しばらくすると、狩りたての獣を使ったシチューが出来上がる。
ジョーはその食事に勢いよくがっつき平らげずうずうしくも「お代わりだ!」と皿を差し出した。
ひとしきり食事したのち、ジョーは立ち上がる。
「はー喰った喰った。そろそろ俺は引き上げるが、ヴァンパイア!次に会う時がお前の最期だぜ」
「あばよっ!!!」
と叫び、目にも止まらぬ速さでこの場を後にした。
Chapter.2 Gears start moving
夜中、貴方は聞きなれない物音で目を覚ます。
窓から外を覗いてみると、多くの兵を引き連れた奇妙な仮面の男がこの住処を訪れていた。
<アイデア>
頭がズキリと痛む。
あの顔は見たことがある。自分が以前までいた場所で、指揮権を執っていた男だ。
つまり、自分を探しにここまで来たのではないか。
ドンドンドン!とドアを強くノックする音がしたかと思うと、間もなく吸血鬼が玄関を出た。
「夜分遅くに失礼いたします。この辺りで、背丈はこれくらいの子供をみたことありませんか?訳あって捜索しているのですが、心当たり在りませんでしょうか?」
「いいや、知らないな。生憎、私は吸血鬼と呼ばれる存在でね。人間との交流はないんだよ」
「吸血鬼ィ?そりゃあ愉快な話だ!おふざけも大概にしないと、強行しますよ?」
「何度も言わせないでいただきたい。ここには君たちの探すものはない」
吸血鬼がそうきっぱりと言い放つと、仮面の男は肩を落とし、背後の兵に指でサインを作った。
直後、激しい銃撃の音が響き渡った。
吸血鬼は見るも無残に蜂の巣にされ、その場に倒れ伏した。
<1/1d6の正気度喪失。>
間もなくして吸血鬼の身体は再生をはじめ、元通りの姿となった。
その様子を見ていた仮面の男は硬直したのち、高らかに笑い声をあげた。
「ハ、はははは!!これは素晴らしい、まさか、本当だったとは!」
「ここまでの再生、不死性を見せられては納得せざるをえません」
「確かにこれなら、F-06、もうあの出来損ないは不要ですね…」
「わかりました、吸血鬼の御仁。我々と共に同行していただきたい」
「そうすれば後ろにある貴方の住処をこれ以上荒らす真似は致しません。お約束しましょう。」
そう言われ、吸血鬼は少し背後の住処を見やった後に頷いた。
仮面の男は満足そうにそれを見ると、吸血鬼に近づき、首元に注射針を打ち込んだ。
吸血鬼はフラリと意識を失い、兵によって担がれる。
「最低限の承諾は取れましたし、道中で暴れられても困りますからね。さ、引き揚げますよ」
「あと、住処のほうは壊すなり燃やすなりしておいてください。もう帰ることもないでしょうしね」
パンパンと手を打って周囲の兵に命令すると、仮面の男は踵を返し撤収していく。
貴方があと追おうと家を出るなら、兵士の何人かが気付き銃を構えてくる。
貴方は自らの感情が昂ると同時に、体温が急激に上昇するのを感じる。
まるで発火してしまうような熱を身体中から感じる。
いいや、事実貴方は”燃えている”。
身体中から炎が迸り、噴出してくる。貴方はそれを自在に操ることができると直感する。
PCはこれより下記の能力を扱えるようになります。
単体近接攻撃
CCB<=85 【焔】
2d6
遠距離炎攻撃
CCB<=85 【炎弾】
2d6
近接全体攻撃
CCB<=85 【薙ぎ払う】
2d6
MPを1支払うごとに、 【焔】なら1d4、【炎弾】なら1d2、【薙ぎ払う】なら1のダメージ上昇を得ることができる。一度の攻撃に最大3MPまで支払うことができる。
また、全ての攻撃は命中すると即時で相手のMPを1d10ドレインすることができる。ドレインによって得たMPはキャラクターのMP上限を超えて回復する。
1d10 【MP吸収】
VS 警備兵 2体
HP10 DEX10
・銃40% 1d8ダメージ ・回避20%
____________________________________
1体目への攻撃は奇襲扱いで回避不可にしてもよい。
PCの覚醒初戦、兵諸君には華々しく散っていただきたい。
炎の力で兵士二人を焼き焦がし先へ進もうとすると、貴方の視界が反転する。
体内から身を焼き切らんばかりの熱で、脳がショートしていくのがわかった。
あなたはそのまま意識を手放していく。
...
次にあなたが目を覚ますと、周囲には焼け焦げた兵士二人と燃えさしの植物があるばかりだ。
立ち上がり前へ進もうと一歩踏み出すと、上手く力が入らずによろけてしまう。
地面へ激突しそうになる直前、森の影から誰かがさっと飛び出し貴方を支えた。
「おい、ガキ、前にも増してボロボロじゃねーか。なにがあった」
「この辺りでボヤ騒ぎがあったって駆り出されてきたんだが、こりゃどういう状況だ?」
貴方に話を聞くと、ジョーは少し考える素振りを見せた。
「で、お前はアイツを助けに行くんだな」
「だったら、俺もついてくぜ」
「俺以外の奴にぶっ倒されるなんて、許さねえからな」
そう言って、貴方と共に行くことになる。
とはいえ既に敵は逃げ去った後。貴方にもジョーにも行方などはわかる由もない。
そう憂えると、住処のほうから大きな物音がして、Vが勢いよく飛んできた。
「こりゃ、ワシの出番のようじゃのー!」
「高貴なコウモリVにここは任せるのじゃ!なんたってワシはコウモリじゃからな!」
「書斎の事なら大丈夫じゃ。それよりゆくぞ!ついてくるのじゃ!」
しゃべるコウモリを見たジョーは0/1の正気度喪失。
あんぐり口を開けるジョーを連れて、貴方たちは研究所へと向かうこととなる。
「しかし、こんなことならしっかりと準備してくりゃよかったぜ。リベリオンしか持って来てねえよ」
「いざ乗り込むってなったらお前戦えるのか?」
「そうか、とはいえある程度のアイテムはあったほうが安心だよな…」
「あーあ、こんなところに商店でもあればなあ!」
そのジョーの言葉に呼応したように、森の木陰から大きな鞄を背負ったエーテルの姿が!
「なんか呼ばれた気がしましたので!星見商店臨時開店しまーす!!」
エーテルが鞄を置くとその場でテントへと変形していき、あっという間に店舗OPENした。
【星見商店】
「ご入用のモノがあったら言ってねー」
「PCちゃんは将来有望だから、未来への投資ということで今回の代金は頂きません!」
ここではPCの技能を補うアイテムを配布する。
例としていくつか提示するので、参考にしてほしい。
・俊敏の翼 回避に+40%
・ポーション 即時1d3回復
・守護のペンダント ダメージ1回無効化
・ヨクミエール 暫く目星が80%になる
・ヨクキケール 暫く聞き耳が80%になる
https://nanamiyuki.com/archives/tag/%e3%83%a9%e3%83%83%e3%82%ad%e3%83%bc%e3%81%ae%e9%81%93%e5%85%b7%e5%b1%8b
「代金をいただかない代わりに、必ず無事で帰ってきてね」
物品補充の終えた貴方に、エーテルはそう優しく微笑みかけた。
Chapter.3 Revealed truth
Vの案内で森の中を暫く駆け抜けると、突然視界が開け、怪しげな雰囲気を持つ研究所が現れた。
外観で記憶しているわけではないが、貴方が元居た場所はここなのだと確信できる。
「さて、到着したはいいがどうする。正面から殴り込みに行くか?」
ジョーが考え無しに物騒なことを口走っている。
<アイデア>
研究所の裏手に自分が抜け出すために使った穴があったはずだ。
そこからなら侵入できるかもしれない。
貴方がそう提案するならジョーもVもそれに賛成し、裏手から侵入することになる。
【研究所地下 牢屋】
壊れた外壁から入ると、そこは牢屋の中だった。
貴方の記憶にあった、薄暗く冷たい場所。それがここであると理解する。
幸い鉄格子の鍵は開いており、廊下に出ることが可能だ。
<聞き耳>
上階から降りてくる人の足音が聞こえる。
<隠れる>や<DEX*5>でとっさに身を潜めることができる。
ジョーはリベリオンを鏡のように反射させ廊下の様子をうかがっている。
兵士二人がやってきて、隣の牢屋を開けると中から鎖につながれた少女を引きずり出しているのが見て取れる。
みすぼらしい身なりと肩に描かれた07の数字から、貴方と同じように実験台にされている子供なのだとわかる。
「さっさと歩け、モルモットが!」
兵士の一人が少女を殴りつける。少女は小さく「ご、めんなさい…」と声を漏らす。
ジョーは貴方に「アイツ、あのままでいいのか」と問うてくる。
飛び出して助ける場合、戦闘となる。
助けずに見過ごした場合、後からどろどろに溶解した少女だったものを見ることになる。
VS 警備兵 2体
HP14 DEX3d6で決定
・銃60% 1d8ダメージ ・回避20%
____________________________________
1体やられると、残った1体はアンプルを取り出し少女へ投与する。
少女は見る見るうちにその体を溶かしていき、粘性の魔物へ変貌してしまう。
1/1d4+1の正気度喪失。
今戦闘からジョーが参戦する。
PCが攻撃を受けるとき、ジョーは1Rに1度だけ50%でかばうを行うことができる。
S(ショゴス)実験により人工的にショゴス化させられてしまう少女。
少女を残して戦闘をやめ、その場において先へ進むことで、後から助けることができるようになる。
感情抑制剤を正しく少女に投与することができれば、知性を取り戻し人間の形態に戻れる様になる。
しかし、この場で殺してしまうのも一つの救済となりえるだろう。
それはPCの選択次第となる。
【研究所 研究フロア】
いくつもの研究室があり様々な研究機器や資料が置かれている。当然だが警備兵もいるようだ。
1部屋探索するごとにKP側でシークレットダイスを振る。成功値は50%。
これに成功すると入った研究室にいた警備兵2体とキメラとの戦闘となる。
この戦闘イベントは1度発生したらそのあとは起こらない。
また、PCが赤さびた鍵を持っていた場合、戦闘後に鍵のかかった金庫を発見させよう。
金庫の中にはMP20が貯蔵されたルーンリングが保管されている。
VS 警備兵 2体
HP14 DEX3d6で決定
・銃60% 1d8ダメージ ・回避20%
キメラ 1体
HP20 DEX3d6で決定
・かみつく80% 1d6ダメージ ・回避40%
____________________________________
色々な生物の特長を歪に無理やり掛け合わせたような生命体、キメラ。
悍ましい唸り声と共に貴方たちを食い破らんとしてくるだろう。
探索を行う場合、何らかの技能ロールを行う必要がある。
探索技能があればそれでよいし、DEXや幸運でもいいだろう。
最大で4つの情報が出るため、順番は成功するごとに1d4を振ってもいいかもしれない。
情報① (ODINの読み方:オプティカリティ ディストリビューテッド インタラクティブ ニューロインプラント)
【光学分配双方向神経インプラント 開発記録】
我々は人類の進化を求め続けてきた。しかし、人智の及ぶ領域では限界があることを悟った。
よって外部からの協力・援助を受けることとした。
幸いにもとある優秀な研究者がラボを借りたがっているという話を聞きつけ、我々の研究所へ招き入れた。
彼の齎した知啓は凄まじく、地球外のテクノロジーや生態系をも活用することができるのだそうだ。
彼との共同開発によって完成したのが、Optically Distributed Interactive Neuro-Implant(通称:ODIN)である。
この超科学的な金属製の球体は、眼窩にはめ込んで使用する。内部にはゲル状の物質に封じられた格子が電磁パルスを放ち煌めいているように見える。この格子が特別な生体組織に浸された論理回路の役割を果たしており、着用者の神経と結合する。
ODINは驚異的な情報収集能力をもち、視覚情報として得たデータを全て蓄積・分析し、学習することができる。また、着用者の脳波を読み取り、周囲の電子機器を手を触れずとも意のままに操作することを可能としている。
そして、この装置の最大の目的は遺伝子情報の解析と模倣にある。
ODINを通して収集した生体情報を操作・複製することも可能になるだろうと彼は話していた。
実際に稼働している様を見たことはないが、彼は何を目的としてそこまでの装置を作り上げたのか。
我々の考えの及ばない、恐ろしいナニカを彼と彼の組織から感じた。
情報➁
【クラスF 遺伝子結合生体実験記録】
F-01 不適合 結合反応に耐えきれずショック死
F-02 不適合 結合反応に耐えきれずショック死
F-03 不適合 結合反応あり 焼死
F-04 不適合 溶解
F-05 不適合 破裂
F-06 適合 精神に欠陥 ※逃走 未確保
F-07 不適合 身体に損傷無し クラスS実験へ転用
F-08 培養中
情報➂
【感情抑制剤に使用用途について】
S実験の被験者に使用することで、知性を取り戻させることが可能。
投与された個体はSとしての能力を扱えるようになり、自由な形態をとることができるようになる。
S活性化アンプルを注入してから一定時間以内に感情抑制剤を投与しない場合、被験者は自我を失い完全なる魔物と化してしまうので注意。
(以下、詳細な投与方法の手順が記載されている)
情報②と③の内容からアンプルを注入されどろどろになってしまった少女に
感情抑制剤を使用すれば助けられることを示唆する。
助けられた少女は涙を流して感謝を述べ、抜け穴から外に脱出するだろう。
少女はこの後外で待機していたエーテルによって保護されることになる。
情報➃
【宇宙吸血鬼の不死性について】
人類進化の可能性を模索すべくF実験やS実験を行っていた我々だったが、ここにきて想定外の収穫を得た。
脱走したF-06の居場所を突き止め押し入ったところ、Fを上回る不死性を持った魔物を発見した。
俗にいう吸血鬼という存在のようだが、彼が言うにはこれは宇宙由来のイキモノであるとのことだ。
彼の呼んだ名前から、この宇宙吸血鬼をNと呼称する。
Nは生物に寄生し宿主を乗っ取ることで星々を転々とする種族であり、
なんといっても最大の特徴は”死なない”こと。まさしく我々が追い求めていた生命の究極体だ!
そう我々は歓喜したのだが、どうやら1つだけ弱点があるらしい。
太陽神経叢と呼ばれる器官を鉛玉で破壊することでNは即死するのだそうだ。
しかし、その程度の弱点であればODINで補うことが可能。
不死性を持つ遺伝子情報・体組織データを分析し、弱点を除いた形で複製すればよいのである。
この実験は精密性が求められるため、ODINの扱いに長けた彼が自らNの遺伝子分析を行うこととなる。
遺伝子情報・体組織データの分析に時間を要するとみられるが、複製には1,2分とかからない。
我々が待望する世紀の瞬間は、すぐそこまで来ている。
彼がこの研究所に来てからプロジェクトは躍進の留まるところを知らない。
Chemdah万歳!クリフォト万歳!
ここにて吸血鬼の素性が明かされる。歴戦のPLであれば勘付くのかもしれない。
自らが守護する吸血鬼の記憶に触れる情報が出た為、この辺りからVは黙り込む。
自分の役目がもうすぐ終わることを確信しているのだ。
研究フロアは一通り探索し終えたが、吸血鬼とあの研究者は見つからない。
後迎えるのはさらに上階最奥の研究室だけだ。
Chapter.4 Ash and...
最奥の研究室に入ると、そこは様々な資料や器機が散らかっていた。しかし備え付けられている設備は他のフロアの者とは一線を画しており、素人目でもここが最重要施設であることがわかる。
その研究室の奥に、磔にされた吸血鬼と紅い眼を光らせるChemdahがいた。
「おやおや、随分と騒がしいと思えばF-06。わざわざ帰ってきてくれたのですか?」
「でも残念なことに優秀な研究材料が手に入ったので、君は不要なのですよ」
・お前は何者だ
「申し遅れました、僕はクリフォトに属しております。アドラメレクのクリファ、Chemdah(ケムダー)と言うものです。これでいいですか?」
「クリフォトのことなんでどうでもいいじゃないですか、それより今はNの体組織データを解析に忙しいんです。」
・吸血鬼を返せ
「このNの事ですか?コレは大変素晴らしいですよ!生命の最大の欠点を補う”不死性”が備わっている個体ですからね!」
「返すのは構いませんが、僕が不死性をこの身に複製した後は殺処分するつもりでした」
「究極の生命体は僕だけで十分ですからね。あ、死骸でよければどうぞ持ち帰ってください」
・ふざけるな
「キーキーキーキーと喚かないでください。やはり融合実験に成功しても脳にダメージが残ってしまっていたようですね。
F実験も失敗だ」
「口先だけでは、何も変わりはしないんですよ!」
そう言ってChemdahは懐から拳銃を取り出した。紅い眼で吸血鬼を見やると、下腹部に太陽のように輝く核が次第に浮き上がってくる。そして、Chemdahはその核を狙って引鉄を引いた。
<炎弾>ロールに成功することでとっさに炎を飛ばし弾道を逸らすことができる。
これにより太陽神経叢の破壊は免れるが、一部の神経が傷つき、吸血鬼から不死性が失われる。
また、ここを外してしまうと吸血鬼は即死し、PCも後々炎の力に飲まれてロストとなる。
重要なダイス局面となる為、振り直し権などがあれば使わせよう。
「まあいいでしょう、いま僕は最高に気分がいい。なぜなら、生命として最上位存在に生まれ変わることができるのだから!」
恍惚とした声でそう叫んだChemdahは、紅い眼を中心に見る見るうちに肥大化し、姿を変えていく。
道中に見たキメラをはるかに凌駕するほど、いくつもの生物を融合させたような怪物が天井を突き破り、紅い月の下で耳を劈く咆哮を上げた。
最終戦闘 VS アドラメレクのケムダー
HP100
Chemdahは吸血鬼の不死性を自らの肉体に複製し始める。
これは3R経過すると完了し、どのような手段をもっても倒すことができなくなる。
よって、3Rの間でPCはHP100を削り切らなければならない。
https://nanamiyuki.com/archives/8546
【炎の覚醒】
吸血鬼の危機、立ちふさがる脅威、昂る鼓動により
貴方と炎の吸血鬼の融合は加速する。
これによりPCは攻撃にMPを10まで割り振れるようになり、
基本ダメージも1d6上昇する。
よって火力を最大で3d6 + 10d4出せることになる。
____________________________________
この間、ジョーは吸血鬼を助けに行かせ、戦線から離脱する。
PCの最後の大一番は是非とも一人で立ち回って頂きたい。
(PCの攻撃の出目が危うければ救済措置で攻撃に回ってもよい)
ニーオス・コルガイのエナジードレインによって、PCのMPを吸収しつくした。
その結果、PCの暴走状態は強制的に解除されるが、不死ではなくなった吸血鬼は
業火によって灰となり死んでしまう。
貴方の放つ轟炎がかの怪物を焼き焦がしていく。
再び大きく咆哮したかと思うと、怪物は灰となり赤月(アカツキ)の下に散っていった。
しかし、一息つく間もなく貴方の纏う炎の勢いは一層激しくなる。
炎の力が暴走し、コントロールできなくなった火炎はあなた自身の肉体をも燃やしつくしていく。
そこに、吸血鬼を抱えたジョーが戻ってくる。
「おい!しっかりしやがれ!なんとかならねえのかそれ!」
どうすることもできない貴方の元に、目を覚ました吸血鬼が歩みだす。
「私のせいで苦しめてしまったようだ。すまない」
「いいや、”よく頑張った”というべきなのだろうか」
「そうだ、君はよく頑張ってくれた。だから…」
広がる火炎の中に来てまで穏やかな表情の吸血鬼は、貴方をしっかりと抱きしめる。
「ゆっくり、お休み」
そして、貴方の首筋に牙を立てた。
途端、貴方の身体中に渦巻いていた熱量が少しずつ引いていく。
身を焦がす熱さは、温かさとなり、貴方の意識を奪っていった。
...
次にあなたが目を覚ますと、ほのかに光が漂うばかりでそこは何もない空間。
周囲を見渡せば吸血鬼はその場に立っており、君に笑顔を見せるだろう。
ニーオス・コルガイはエナジードレインを行った対象と意思疎通が可能となる。
その設定を拡大解釈し、死の間際に精神世界での繋がりができたこととしている。
この時点で吸血鬼は自らの死を確信しているため、PCに自分が死んだ後の話をする。
chapter1であった楽しい出来事や交わした約束事などがあれば、それを話そう。
・ここはどこ?
「私と君だけが存在できる特別な空間だ。ほんの少しだけだがね」
「少し疲れたろう、よければここに来るまでの話を聞かせてくれないか」
・あの後どうなった?
「………そうだ、帰ったら私の使っていた家は自由に使ってくれて構わない」
「食料は備蓄の者が幾分あるし、君には狩りや釣りも少し教えたから食べるに困ることはないだろう」
「ぜひ料理も自分の手でしてみてほしい。はじめは失敗することも多いだろうが、君ならすぐできるようになるさ」
「計算などは教えることができなかったが、物の売り買いはエーテルに聞いてくれればいい。通貨の類はリビングにある棚の二番目に収納している」
・聞いているのか
「聞いているとも。ただすまない、話せるうちに伝えておきたいことが多くてね」
・どういうこと?
「私はあの男に自らの核を一部破壊された。それは私の種族を不死たらしめていた部分だ」
「つまり私はもう不死の存在ではないということだ」
「あんなにも遠く感じていた”死”というものが目前にあるとは、不思議なものだ」
・いかないで
「私とて死にたくはない。生きたいと思えた。君が、私の生きる希望だったのだ」
「だから、君が私の前で死んでしまうのを見過ごせなかった」
「単なる私のエゴに過ぎないな。申し訳ない」
「君と交わしたたくさんの約束、守れそうにない」
「しかし、私はどこかで君を見守っている。だから、生きてほしい」
「それが私の最期の願いだ」
吸血鬼の手や足の先は光の粒子となり少しづつ薄れていたが、次に貴方が瞬きをするとそこにはもう誰もいなかった。
空間を維持していた精神の片割れが消失したことにより、貴方の意識は覚醒していく。
...
「…い、おい、聞こえるか!」
ジョーの声が響き、貴方は現実で目を覚ます。
夜はいつの間にか明け始めており、吸血鬼だった灰が暁(アカツキ)に照らされ輝いているようだった。
エンディング分岐はここで決まる。
この後ジョーは自分の知らないところで勝手に死んだ吸血鬼に憤慨する。
吸血鬼ハンターの親類を辿れば不死の存在を蘇らせることができるかもしれないと話すジョーは
その方法を探す旅に出るという。
PCがその旅に同行する場合、エピローグは数か月後にジョー、エーテル、少女の三人と
ドリームランドを旅するカットで終幕する。
吸血鬼を蘇らせることに反対する場合、PCは住処へ戻るなり死に場所を探すなり
PLのさせたいように描写してあげよう。
生還報酬
1d10 通常分
+1d10 少女救出分
クトゥルフ神話技能 +10%
PCがジョーと旅するエンドになるか、死を選ばない場合はSIZやEDUなどの能力値はPLの任意で成長させて他のシナリオで使用してもらっても構わない。
炎の能力は残る為、現代シナリオなどは厳しいが、転移系クローズド等であれば参加可能かもしれない。